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私がカイロプラクティックを選んだ理由
今回のブログは、なぜ私がカイロプラクティック(パーマー系)を学ぼうと思い、現在も治療の軸になっているのかについて書こうと思います。
●筋肉へのアプローチに行き詰まる
柔道整復師や鍼灸師の免許を取得し数年間は、慢性症状の方への治療は筋肉へのアプローチをメインにしていました。
その頃は、「筋肉が緊張するから痛みやさまざまな症状の原因になっていて、それを柔らかくすることができれば治るだろう」と考えていました。
とにかく触れる筋肉は全部触れるようになってやろうと、触診の本を何冊も買って勉強したりしていました。
深い部分の触りにくい筋肉を触れるようになった時はとても嬉しかった記憶があります。
もっと深い部分の筋肉については鍼でどの場所を、どのくらいの角度で、どの深さまで刺せば狙った筋肉に到達するのかも研究していました。
このようにして、狙った筋肉を押したり揉んだりストレッチで伸ばしたり、電気療法や鍼でゆるめたりしながら慢性症状の患者さんの治療にあたっていました。
緊張していた筋肉が柔らかくなると、血流もよくなり痛みなどの症状も緩和され施術後はとても喜ばれておりました。
しかし、多くの慢性症状の方はその時は楽になっても、数日後にはまた同じ状態にもどっているということがあり、長い目で見ると良くなっていないという経験をしました。
特に長年患っている方や、こじれている方、神経症状などがある難しい患者さんには、到底対応などできていなかったと今は思います。
このように、臨床に出て三年間くらいは筋肉のアプローチを一生懸命に頑張っていたのですが、まさに壁にぶち当たりました。
「施術してもらった後は良いんですけど…また戻ってしまいます」という言葉をよく聞いていました。
自分の中にも「以前よりも筋肉がすぐに硬くなっているな。数年前よりも姿勢が悪くなっているな。」など"患者さんを治せていない"という気持ちが湧き出ていました。
●筋肉は"被害者"であるという考え方
今では、慢性症状において筋肉の緊張は、骨組みの崩れなどをかばっていることがほとんどであると考えています。
背骨のカーブが崩れていたり、身体が傾いたり捻じれていたりすることで、負担の掛かった部分の筋肉は緊張することになります。
この場合、筋肉は被害者であり原因ではないんです。
壁にぶち当たったことで、もっと別の治療法がないかと模索していました。
それまでは筋肉に対する治療法ばかりを追いかけていましたが、関節についての治療法は学んだことはありませんでした。
関節のアプローチ、特に背骨に対する手技療法においては「カイロプラクティックが有名だな」という浅い認識でしたが、少しずつ興味がわいてきていました。
●師匠との出会いと、繊細なカイロプラクティックへの転換
そのようなタイミングの時に、治療家の先輩に紹介していただき、中濱先生のもとで勉強させてもらえることになりました。
それまでカイロプラクティックや関節に対する治療法は学んだことはなかったので、習い始めは全く違うアプローチであり目から鱗でした。
一番の印象は、「とても繊細だな」でした。
それまで持っていたカイロプラクティックのイメージは、アジャストなどとてもダイナミックであり刺激が強そうなイメージでした。
アジャストをやる側もパワーが必要なのではとも思っていました。
しかし、中濱先生から学んだカイロプラクティックは、とても繊細であり、パワーは必要としていません。
メインとなるテクニックはガンステッドテクニックといい、骨盤から背骨全体を矯正により治療するテクニックになります。
背骨のカーブや傾き捻じれを改善し、神経の出入り口である"椎間孔"での神経圧迫を改善していきます。
その為には、背骨のズレをミリ単位で触り分けないといけません。
繊細な触診はとても難易度が高く、すぐに習得はできません。
解剖学的な知識や、研ぎ澄まされた感覚が必要となります。
ちなみに、日々患者さんへの施術で、筋肉を指で力を入れてマッサージなどしていると、指の感覚はどんどん乏しくなっていきます。
ミリ単位の違いを触り分けるには、治療家は日頃から手に力を入れるということは、できるだけ控えたほうがいいんです。
ズレを見つけたら今度はそれをミリ単位で矯正しなければいけません。
矯正の際、力加減や力の方向が正しくないと良くなりません。 それを間違えると人為的な捻挫のような状況にもなりかねません。(矯正はゴルフのパターのようなイメージです)
このように私が学んだカイロプラクティックはとても繊細で奥が深く、習得には時間がかかります。(一芸十年といいますが十年でもまだまだな世界です)
今では、治療で筋肉をほぐす行為は全く行っておりません。
それでも、マッサージをしていた頃よりも確実に患者さんは機能改善して良くなっています。
●最後に
また、このようにテクニックや医学的知識も日々研鑽していかなければいけませんが、これだけでは難しい慢性症状の患者さんは治せません。
どれだけ技術が優れていてもそれだけではダメなんです。
技術と同じくらい大事なことがあり、中濱先生にはこの"大事な部分"についても教えていただきました。
師匠の中濱先生は手だけで難しい患者さんを治しています。
まさに自分が目指す理想の治療家像です。
まだまだ積み上げている途中ですが、前を歩かれている師匠に近づけるように日々精進していきたいと思います。