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母指CM関節症について
かずあき鍼灸整骨院です。
今回は母指CM関節症についてブログを書きたいと思います。
(※腱鞘炎のことにも触れておりますので気になる方はご覧ください。)
母指CM関節症とは簡単に説明しますと、手を使う際などに親指の付け根の関節に痛みを生じてしまう状態のものです。
ちなみにCM関節とは、中手骨と手根骨という骨による関節のことで手根中手関節といいます。
母指CM関節症は、閉経後の女性に多いといわれ、親指の付け根の変形(変形性関節症)や痛みが強くなり、日常生活に支障をきたすようになります。
ここの関節の軟骨が摩耗してしまい、ひどい方は手術をされるケースもあります。
変形が進んだ母指CM関節(緑矢印)のレントゲン写真
引用(整形画像読影道場 仲田和正 著 医学書院)
変形がひどくなると親指の付け根の骨が突出してくる
引用(整形画像読影道場 仲田和正 著 医学書院)
このCM関節は、親指だけ関節の形状が特殊であり可動性も大きくなっています。
細かいお話をすると、鞍関節といい二軸性の関節といわれています。
前後だけではなく左右にも動く関節です。
まるで乗馬の道具である「鞍」の形に似た関節の形状をしています。
6.37の図が鞍関節
引用(ボディナビゲーションムーブメント Andrew Biel 著 医道の日本社)
「鞍」とは馬の背に置いて人をのせる道具の事
引用(カパンジー機能解剖学 上肢 KAPANDJI 著 医歯薬出版)
また、親指は他の指と違って90度回転しています。
これによって他の指と指先をくっつける動きである対立という動きが可能になっています。
この対立という動きにより、ものを掴んだり握ったりつまんだりもできるのです。
対立運動といわれる特殊な動き(c.)
引用(解剖学講義 伊藤 隆 原著 南山堂)
このように親指は他の指と比べて、様々な方向へよく動く関節になります。
特に手をよく使う方は、なおさらこの関節が頑張って動いている状況なので、負担が蓄積しやすいといえます。
【CM関節症の原因について】
ではこの関節を傷めてしまう原因を考えたいと思います。
私の考えは、骨組みの配列が崩れて骨と骨との摩擦が増えることで傷めることが多いのではないかと考えています。
ちなみに、手首から先の骨は片手で計27個も骨が存在しています。
手は(片手で)27個もの骨からできている
引用(解剖学講義 伊藤 隆 原著 南山堂)
手根骨という小さい骨が8個あり、その先には5個の中手骨、さらにその先には14個の指の骨があり計27個になります。
(※ちなみに足の骨は片足で26個、両足合わせると52個あります)
両手両足の骨を足すと106個となります。
全身の骨が206個ですので、半分の骨が手足に集中しているというのは驚きです。
これは手や足の骨が、他の関節に比べてより細かい繊細な動きをしているという事なのだと思います。
多くの小さい骨が集まって絶妙なバランスで配置されていますが、過度な負担をかけたり悪い使い方を続けていると、数ミリ単位で位置関係も崩れてきます。
そうなると、関節やスジ(腱)が滑らかに動いてくれず、摩擦などの原因になりCM関節症のような関節の問題が起きやすくなってしまいます。
(b)エッジとエッジで摩擦が起きている状態
引用(プロメテウス 解剖学総論 運動器系 坂井 建雄 監訳 医学書院)
【手のアーチについて】
手の骨組みを語るうえで大事なアーチについても簡単にお話をしておきます。
人の手の平は自然にくぼんでいます。
微妙な骨の配列により、アーチが作られています。
これは、色々な形や大きさの物を確実につかむために必要なものです。
絶妙な骨の配列により手のアーチが作られる
引用(筋骨格系のキネジオロジー Donald A Neumann 医歯薬出版)
手の骨組みが崩れるとこのアーチも崩れることになります。
それにより機能的(効率的)に手を使えない状態になってしまいます。
手の関節やスジ(腱)などが滑らかに動きにくくなります。
親指の関節も滑らかに動かず、引っかかったり摩擦が起きやすくなってしまいます。
このように、アーチが崩れていると局所的に負担がかかる所がでてきてしまい、それが蓄積していき傷めてしまいます。
母指CM関節症や腱鞘炎の方々もこのような原因の場合は多いと思います。
【腱鞘炎について】
手には多くのスジ(腱)や筋肉が存在しています。
ちなみに、15本ものスジ(腱)が前腕と手をつなげるために手首を通過しています。
まるでピアノ弦のようです。
手には多くのスジ(腱)が通っている
引用(解剖学講義 伊藤 隆 原著 南山堂)
手根骨の配列が微妙に崩れてしまうとこれらの多くのスジ(腱)に影響が出てしまいます。
あるスジ(腱)はたわんでしまったり、あるいは引き伸ばされたりしてしまいます。
元々のルートを通過していればスムーズに動けますが、骨の配列が変わることで、スジ(腱)の通る位置も変わることになります。
そうしますと、骨とスジ(腱)により摩擦なども起きやすくなってしまいます。
摩擦が起きるやすくなると炎症が起きてしまいます。
代表的な腱鞘炎 ドケルバン病
構造的に擦れやすい状況になっているので、炎症が起きているのではないかなと思います。
これが腱鞘炎の原因と私は考えております。
【最後に】
このように、骨の配置のバランスが崩れるとスジ(腱)や骨同士が擦れたり炎症が起きやすくなったりしてしまいます。
当院の治療では、手根骨やそれに影響を及ぼしている上肢骨格の矯正により、関節の状態を改善させることができます。
関節の状態が改善すれば、摩擦が少なくなります。
摩擦が減れば、炎症や痛みが軽減するので日常生活も楽になっていきます。
パーマー系カイロプラクティックは、背骨はもちろん全身の骨格にも対応可能です。
関節の問題は、関節の治療により改善しますので、長く患っている方は早めの治療をおすすめします。
※関節の軟骨が摩耗してしまうと形を元にもどすことはできません。
・関節の治療の必要性についてはこちらに書いております。
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