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ボキボキについて
かずあき鍼灸整骨院です。
今回は、骨のボキボキについてお話をしたいと思います。
骨に速い刺激を加えて矯正するテクニックのことをスラストといいます。
よく患者さんに「骨をボキボキするの?」「ボキボキは安全なの?」と聞かれます。
治療をする人間が、関節の構造を理解して正しい方向に骨を動かせば関節が鳴ったとしてもなんの危険もありません。
そもそも正しく治療をしているカイロプラクターは、ボキボキ鳴らすことが目的ではありません。
ガンステッドD.C.の頚椎矯正
ガンステッドカイロプラクティック科学&芸術 ルネッサンスジャパン 塩川満章 引用
関節に対して治療を行い、それに伴い結果的に関節が鳴っただけの話です。
(※関節の治療の必要性についてはこちら)
目的はあくまで、正しい位置にミリ単位で骨を戻すことです。
逆にいえば、音は鳴ろうが鳴るまいが正しく骨が動いていればそれで良いのです。
関節に対して刺激をしますので、関節の中の圧力が変わり窒素ガスが弾けて「ボキッ」と音が鳴ります。(キャビテーション現象から生じるクラック音)
※音が鳴っても、動かしたい骨が正しく矯正できているとは限りません。(その判断は触診で確認します)
ではなぜカイロプラクティックでは、わざわざ嫌がられる恐れのあるスラストを治療で用いているのか?
理由は、スラストにはメリットがあるからです。
それは、数学の力積(力×力が加えられた時間)が関係するのですが、簡単にいうと「だるま落とし」の原理です。
じわっと押すよりも速く押す方が、上下との摩擦が少なくすみます。
「テーブルクロス引き」も同じ原理です。
要するに、速く動かすことで周りの組織に負担をかけずに、動かしたい所だけを動かせる利点があるのです。
逆に速く動かすことのデメリットもあります。
スピードを使うのでブレやすく、力の方向や強弱のコントロールが難しくなります。
背骨はとても複雑な構造をしております。
関節を動かすことで、脊髄神経や椎骨動脈・椎間板やルシュカ関節(頚椎)などにどのようなリスクがあるのかを考えないといけません。
解剖学の重要性を考慮せず「ボキボキと鳴らすことを目的」に回旋を主とした矯正などを行うと非常に危険です。(YouTubeなどで散見されます)
列車はレールに沿って動かないと脱線してしまいます。
脱線しなくても大きな力がかかればレールや車輪が歪みます。
関節も同じでレールのように動かせる方向は決まっております。
背骨の正しい矯正方向(椎間板の方向で後方から前方)
ガンステッドカイロプラクティック科学&芸術 ルネッサンスジャパン 塩川満章 引用
また、回旋がメインの矯正は音は鳴りやすいですが、頚椎や腰椎などを正しいカーブに戻すことはできません。
いつまで経っても背骨の機能は改善しないのです。
ちなみに、関節の固さは個人差があり、矯正の方向や力加減は一人ひとり全く違います。
関節が硬く可動域がせまい方に強い力でいき過ぎた矯正を行うと、逆に組織を傷めてしまい炎症などがおきてしまいます。
当院ではそういったリスクを理解した上で、安全に関節に対しての治療を行っております。
※嫌がられている方に無理にスラストを行うことは致しません。
また、年齢や柔軟性などを考えて、お一人おひとりに合った治療方法を使い分けますので、年配の方や小さいお子様もご安心ください。
※カイロプラクティックについて詳しくはこちら
マスコットキャラクターの近況ですw
ドロップベッド(トムソンテーブル)について
かずあき鍼灸整骨院です。
今回は、当院でも治療で使用しているドロップベッド(トムソンテーブル)について話したいと思います。
クレイ・トムソンD.C.が1950年代に考案しました。
クレイ・トムソンD.C.
ドロップベッドのメリットは「小さな力で安全かつ効果的」にズレた部分を矯正できることです。
※骨の矯正(スラスト)について詳しくはこちら
骨盤・腰部・背中・頚部の各パーツがそれぞれ数センチ程度上下に可動するようになっており、矯正したい場所だけを動かせます。
リフトアップして落ちる時の重力(位置エネルギー)を利用するので、軽い力で矯正できます。
ドロップベッドといってもメーカーやモデルなど様々あります。
当院で使っているものは、世界中で多くのカイロプラクターに愛用されているハイグレードモデル「ゼニス440」であります。
このモデルのメリットとして、
①コンプレッサーによる圧縮空気を利用し、ソフトでスムーズなコッキング(リフトアップ)により、安全でストレスのない効率的な矯正が可能。
②骨盤部は、前下方・直下・後下方(3方向)へのドロップ方向切り替えで、多様な手技にも対応可能。
③ベッドが起立する機能(ハイロー機能)により、自力でベッドに乗ることが困難な患者さんにも負担をかけないことが可能。
また、立った状態からそのまま寝られるので、正確な脚長差の判断をすることが可能。
「ガタンッ」という音はしますが、全く痛みなどはありません。
このドロップというのは治療家に力は必要ありません。(むしろ力を入れて押したらいけません!強い力で押すと逆に効果はでません…)
ドロップに軽く触れたら落ちるくらいの加減にしておかなければいけません。
※とても優れたベッドですが、このベッドが治療をするわけではありません。
それを使いこなす治療家により「治療効果」が変わります。見立てが重要です。
考案者のクレイ・トムソンD.C.の治療哲学や治療理論を理解し、
各種検査や触診などから、どこをどのようにドロップをするのかを見立て、
ドロップの力加減や力の方向・リスクの判断などを考えないといけません。
このベッドを効果的に使いこなすスキルを得るまでには多くの習得時間が必要です。
つまり、優れた指導者から質の高いカイロプラクティック教育を受けずに、このドロップベッドだけ取り入れても使いこなすことは困難であると思います。
(どんなに速いF1マシンでも、レーサーが乗りこなすための経験や技術・知識などがないとマシンの能力を発揮できないのと同じです)
私はこのベッドを効果的に使うための準備をしてきました。
来院された方がはやく「治癒」に向かうために尽力いたします。
※関節の治療の必要性についてはこちら
治療家がすぐには手にすることができないもの
※長年様々な施術を受けていても良くなっていない方は特にお読みください
かずあき鍼灸整骨院です。
「治療家がすぐには手にすることができないもの」について話したいと思います。
それは、『患者さんを治す術』のことなのですが、一番重要なのが『正確な見立てにたどり着くこと』だと思っています。
世の中、手技療法は数多ございます。
例えば、筋肉を押す・揉む・伸ばす・鍼を刺す・灸をすえる、
関節を瞬間的に動かす・ゆっくり動かす、
皮膚や筋膜、リンパ組織への刺激など。
世の中には様々な手技療法が存在します
慢性症状では、これらアプローチの方法よりも『どこが原因でこの状態になっているのか?』を把握することのほうが大事です!
なぜなら多くの場合、「痛いところ」が「原因」ではないからです。
身体は無意識に、「悪い箇所」を違う部分が「かばう」という能力が備わっているからです。これを補正作用といいます。
原因の悪い箇所を見つけることが「見立て」であり、例えば建物を建てる前に設計図を作ることと同じです。
要するに、「原因を追究せずに痛みの出ている部分だけを触る」ことは、「設計図が無く建物を建てること」と同じです。
更に言い換えますと、「海図がなく航海する」ようなことであり、それでは遭難してしまいます。
海図が無く航海をすれば遭難してしまう…
では具体的に、どうやって原因の悪い箇所を探すのかと言いますと、メインは触診により「機能不全」を起こしている背骨を探すことをします。
【機能不全とは】
簡単に言えば「ちゃんと仕事をしていない状態」のことです。
- 関節であれば、動くことが仕事ですが固まっていたり、滑らかに動かなければ機能不全の状態です。
- 背骨全体であれば、重たい頭を支えられていないと機能不全です。
- 神経であれば、脳と組織の情報のやり取りを滞ることなく伝えられていないと機能不全といえます。
- 筋肉であれば、しっかり伸び縮みして力を生み出せなければ機能不全です。
- 靭帯であれば、適度な硬さで骨と骨とをつなぎ止めることができなければ機能不全です。
例えば、動かない関節(機能不全)があると、近くの関節が動き過ぎてそこに痛みが出ている場合や、
腰が傾き(機能不全)それを首で戻そうとして首に痛みが出ている場合など様々なケースが存在します。
※関節の治療の必要性について詳しくはこちら
二次的にかばっている部分に痛みや症状がでていて、最初の機能不全(一番最初の原因箇所)の部分は隠れて症状が少ないことがほとんどです。
慢性症状では、必ず最初の機能不全である「黒幕」が隠れているんです…。
パーマー系カイロプラクティックでは、この黒幕の事をサブラクセーションと呼びます。
長く患っているほど、黒幕は探しにくくなります。
多くの場合、根本原因である黒幕は隠れています
ちなみに、関節の機能不全を探す時は、繊細な触診で1ミリの違いを見極めます。
(※触診は簡単ではありません。私も最初は骨のズレを見分けられるのかと半信半疑でした。しかし、鉄工所の方が1ミリの100分の1⦅10ミクロン⦆の金属表面の凹凸を見分けられるのと同じで、鍛錬すれば可能になります。)
神経の機能不全を見つける際は、支配領域の把握ができていないといけません。
姿勢や動作から、身体の傾きや捻じれ左右差などを見極めます。
炎症があり熱を持っていて腫れているのか?
組織が慢性化し虚血状態なのか?
この判断も繊細な触診や神経圧迫測定器(ナーブスコープ)などにより見極めます。
ナーブスコープ
これら客観的な情報を集めて、治るための設計図を作ることが「見立て」となります。
その上で、ピンポイントに動かしたい関節だけをミリ単位で正しく動かさないといけない高度な矯正技術も必要となります。
このように、「機能不全」を「機能改善」させていくことが、「根本的に治癒」させるということです。
したがって「患者さんを治す術」は治療家にとって「すぐには手にすることができないもの」となります。
私はこの術を、2013年から現在まで中濱秀彦D.C.の下で磨いてきました。
※ちなみに、軟骨が変形したり靭帯が伸びきったもの(不可逆性変性といいます)を戻すことは出来ません。
- 治療結果を出すために必要な事についてはこちら
- パーマー系カイロプラクティックについて詳しくはこちら
- パーマー系カイロプラクティックが治る理由についてはこちら